低用量ピルによるPMSの緩和

茶屋町レディースクリニック梅田本院・心斎橋分院ーピル専門外来

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低用量経口避妊薬(ピル)の月経前症候群(PMS)に対する効果

      ~当院におけるアンケート調査の結果より~
はじめに
月経前症候群(PMS)とは精神的あるいは身体的症状が月経前3~10日間続き、月経発来とともに減退ないし消失するものであり、その症状としてイライラ、うつ気分、頭重感、浮腫み、食欲増進、眠気、めまい、集中力の低下、乳房の張り、下腹部膨満など多種多様であり、日常生活に支障ある程度の強い症状が起こることもある。
 原因としてホルモンバランスの変化やストレス、生活環境などが考えられ、本邦では古くから精神安定剤や漢方薬などの対症療法が試みられてきた。当院では本症候群が排卵後に起こること、無排卵の時期には多くの症状が発現しないといった臨床経験から本邦での低用量ピルの発売開始よりPMSの症状緩和目的で低用量ピルを処方し臨床的に効果を実感していた。そこで今回私たちは低用量ピルがPMSにどれくらい有効かを評価する目的で服用前後でのアンケート調査を行ったので、ここに報告する。

対症:PMS緩和目的(他の目的と重複している症例も含む)で来院され低用量ピル服用が開始となった症例
期間:平成20年1月15日~平成20年10月31日

調査方法:アンケート調査(無記名)
PMSの症状の程度を5段階
1:なし 
2:軽度 
3:中等度 
4:やや強度 
5:強度
以上5段階に分け、内服開始前と内服開始3ヵ月後の2回、同内容のアンケートを実施。

PMSの症状を分類

身体的症状

下腹部が張る、下腹部が痛い、むくむ、頭痛、腰痛、めまい、食欲が増す、食欲がなくなる、胸が張る・痛い、眠くなる、ニキビができる、からだがだるい

精神的症状

イライラする、怒りやすい、憂鬱になる、涙もろくなる、集中できない

社会的症状

仕事に支障が出る、物事が面倒になる、家に引きこもる、誰も理解してくれないと思う、家族や友人に暴言を吐く

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アンケート調査票

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結果・考察

 アンケートの結果、身体的症状では64%、精神的症状では74%、社会的症状では73%の方で症状
の軽快が認められました。

身体的症状身体的症状

精神的症状精神的症状

社会的症状社会的症状

OC服用の効果
・・・PMS症状の変化(内服開始前と内服開始3ヵ月後)

身体的症状に関して

①下腹部が張る
kahansin01.gifbon01.gifkahansin02.gifbon2.gif
②むくむ
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③食欲が増す
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④胸が張る・痛い
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⑤眠くなる
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精神的症状に関して

①イライラする
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②憂鬱になる
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③集中できない
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社会的症状に関して

家族や友人に暴言を吐く
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結果・考察

この結果より、ピルを内服することでPMSの症状が5人中3~4人の方で症状の軽減が図れていることが明らかになった。症状が軽減される程度の差はあるが、ピルを内服したことによる満足度調査では、満足できた53%、少し満足できたも含めると95%近くにまで昇った。 
全体的に内服開始前と内服開始3ヵ月後とでは明らかに症状の程度の占める割合が変化し、
内服開始前ではPMS症状がやや強度〜強度が大半を占めていたものが、内服開始3ヵ月後には症状なし〜中等度を示す症例が増え、全体として63~80%の方で症状の軽減が認められた。
しかし、その軽快傾向は発現しているPMS症状により異なり、身体的症状の一つである”むくみ”の症状に関しては50%の改善を認め、高度の”むくみ”が増加していることは注意すべきことと考えられた。この原因としては黄体ホルモンの持つ保水作用が影響しており、この作用に対して感受性の高い体質の方において症状の悪化があったものと推測された。そのような症例に対して症状の改善を目的により保水作用の少ない、利尿作用を有する黄体ホルモン製剤(ドロスピレノン製剤)を含む低用量ピルの本邦での発売が期待される。
今回の調査結果において低用量ピルがPMS症状緩和の一つの治療法として有効であることが再確認された。服用3ヶ月時点でも非常に高い割合で治療効果が認められており、低用量ピル服用は早期に効果が期待できる治療方法と思われる。これは低用量ピルによる排卵抑制および黄体期のホルモン環境の変化が症状の緩和をもたらしているものと考えられる。しかし、症例においては満足おける効果が実感できていない症例も存在しており、PMSの原因として複雑な要因が関与していることも示唆された。このような症例においては抗うつ剤、漢方薬などの他の機序での治療も検討を要するものと思われる。また、精神的ストレスが関係している場合もあるため、面談時の丁寧な対応を心がけ、個々に適した治療方法を提案できるようにしていきたい。
 低用量ピルの服用開始時にはPMS様の症状が発現することがあり、自己判断で服用を中止され、十分な治療効果を実感することのない方が存在すし、丁寧な服薬指導により中途でのドロップアウトを減らせる努力もしなければいけないと考えられた。

最後に

今回の調査を進めるにあたり協力頂いた患者様はじめ、資料提供していただいた諸製薬会社様に感謝したい。


参考文献

1.リヤネ・ハーン著 川西由美子訳:PMSを知っていますか?、朝日新聞社、2004
2.ダルトン・ホルトン著 児玉憲典訳:PMSバイブル 月経前症候群のすべて、学樹書院、2007
3. 臨牀婦人科産科 月経前症候群と月経痛―どう対応するか、医学書院、VOL.59 NO.7 2005
4.小山嵩夫著:月経前症候群、心身医、第46巻、第10号、2006 
5.白土なほ子他:月経前症候群、臨産婦、60巻、12号、2006 
6.後山尚久:月経前症候群(PMS),月経異常への初期対応、治療、VOL.89、 NO.10、 2007

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